Critical Path

限界工程

言わなくてよかった

僕は、アイドルのライブに行って騒ぐことが好きだ。
人それぞれに楽しみ方はあるだろうけど、あのタイガーファイヤーと意味不明な単語を叫ぶことは、常人には到底理解しがたい不思議な快感があって、日常の理不尽さや悲しみを全て吹き飛ばしてくれる。僕はそれを求めてアイドルのライブに通っている。

ある人は言った。その清廉潔白で誠実なライブをするアイドルは全く僕のイメージにしっくりこない…と。
でも僕は不思議とそのグループのことが好きでライブに通い続けた(行かない期間もあったけど)。大好きだった。


それが Dorothy Little Happy というグループだった。



初めてドロシーのことを知ったのは“あの”TIFの夏だった。
旧知のアイドルヲタがTIFで受けた衝撃について口を揃えているのを見て初めてその存在を知った。
\オレモー!/・・・ってなんやねんと。
それから3か月後、スト生を見に行った横丁祭で初めて彼女たちのステージを見た。
当然、曲も知らないし、良いライブするなー盛り上がってるなーと二階席から俯瞰していた記憶がある。

いつか単独で見たいと思いながらもすれ違いが続き、次は半年後…また横丁祭だった。
そこで僕は一人の女の子に心を奪われる。
お団子頭に猫っぽい顔、どこか惹きつけられる不思議なMC…。
白戸佳奈ちゃんとの出会いはこうして訪れた。
「風よはやく」のリリイベの時、思い出の詰まった亀戸で初めてしゃべって…。

2013年は特に色々なことがあった。
「新春ドロシーカップルツーショット」で腕を組まれて本気で照れて始まった初めての冬。
「Life goes on」のソフマップイベントで何故かチアチアがゲストで来て、一人でぶち上がったこと。
「Live five's onツアー」のリハ見学に遅刻しそうで大阪の町を全力疾走したこと。
「Colorful life」のリリイベでチェキ撮ろうとした瞬間にデイリー最高位が発表されて笑い合ったこと。
一日目行けなかったのが雨で振替になってSMILE GARDENで凄いステージ見せられたTIF2013。
特典会が毎回のように長引いて終電と戦っていた「ASIAN STONE」のイベント。
大成功のクラブチッタで撮った全員チェキ。


楽曲もライブもメンバーも全てが好きだった。
いつだって彼女たちにしか見えない景色を見せてくれる。

彼女たちの進化は止まらない。
毎年のようにTIFで素晴らしいパフォーマンスを行い
2年連続で年末の川崎クラブチッタLIVEも大成功。
非公式の企画ではあるが「アイドル楽曲大賞2014」で
新たなmasterpiece『恋は走り出した』が1位を獲得。
5周年イヤーとなった今年もベストアルバムリリース、精力的なツアーの展開。
順調にステップアップを重ねていく彼女たちのストーリー、いよいよ照準は武道館か。
僕自身、1年ぶりに単独ライブに足を運んで、またドロシーの年がやってくる。そう思っていた。



でも、サヨナラは突然に。。。
おとぎ話には必ず終わりが訪れる。そのほとんどが残酷な形で・・・。

【↑ここまで7/11ライブ前日の下書き】


【↓ここから7/13ライブ翌日の感想】

あれだけは絶対ステージでやっちゃいけなかった。

彼女たちの今までやってきたことは色褪せないと擁護する人もいるけど、
僕にとっては全てが終わった。二度とドロシーの名前を口にすることも無いと思う。

好きだったアイドルから発せられた威圧的な声、あまりに醜いエゴむき出しの水掛け論、無感情で事務的なアンコール。
会場の反応もまたショックだった。
白だと信じていたものが灰色ならばまだ理解できるけれど、最後の最後で真黒でした。全部、嘘。
そんな状況でも受け入れなければいけないことがヲタクなら、自分が今まで注いできた感情は一体何だったんだ。と全てを否定された気分になった。


ただ普通の女の子に一方的に清楚で光り輝いている過度な幻想を抱いてしまうヲタクも悪い。アイドルだって人間だし嫌な部分の方がきっと多い。
でもそういったいつもの人間の嫌な部分や醜い争いから離れるために僕たちはアイドルのヲタクをやってるんじゃないのか。
バッドエンドにしてもこれじゃあんまりだ・・・。



机の上には1枚のCDがある。
ジャケットには笑顔が眩しい制服姿の5人の女の子たち。
彼女たちはこれから何処へ向かっていくのか。
どうかその先にはどこまでも光が続いていて
いつまでも傍に小さな幸せがあり続けますように…。


そんな空想をしながら心の奥に感情を押しこむように棚にCDを戻す。
アルバムのタイトルが僕に語り掛けてくる。
たとえお前にどんなに悲しいことがあっても、信じられるものが無くなっても、それでも人生は続いていくのだと。


「Life goes on」