Critical Path

限界工程

拝啓、コザック前田

2017年5月3日、ガガガSP結成20周年を記念したベストアルバムが発売される。

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もう15年近く前になる。
小学生の時に従兄弟に教えてもらったブルーハーツで音楽を知った僕は、その後ハイロウズで今でも座右の銘に留めている「心の無い優しさは敗北に似てる」を知って中学生になり、次の新しいパンクバンドに熱中しようとしていた。

ガガガSP

ゼロ年代初頭「○○オブ○○」みたいなカッコいい横文字のバンド名が流行している中で、どう考えてもまともなはずがないモテそうな人間が一生聞くこともないであろう奇天烈なバンドに僕は傾倒し始めていた。中学生の頃、日本語ヒップホップが全盛で周りに散々イヤホンを押し付けられても僕が毎日昼休みにベランダで聴いてるのはガガガSPだった。

今でも覚えている。当時、放課後になると部活を早々にサボって悪友達とファミレスに通って、少し年上のアルバイトのお姉さんに淡い憧れを抱きながら、みんなでなけなしの金を出し合って食べていた大皿のポテト…と共にテーブルの端にあったタッチパッド形式の機械。
これは、たしか100円入れると好きなPVが1本視聴できて(ネットでほぼ全動画が無料で見られる今では考えられないけど…笑)、ほんのりしょっぱい指で毎日のようにある曲のPVを見続けていた。

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「ガガガの何がそんなに好きなの?」って聞かれることは多い。今も昔も。
僕は決まってこう答える。「ダサいところかな。」と。

ダサい。本当にダサい。いい歳して未練がましくてしょうもない事ばっかり言ってて、少しはカッコつけろよといつも思う。
でもこんなにまで心に訴えかけてくる音楽は無い。
自分そのものなんだと思う。今までもきっとこれからも。



少し自分語りが過ぎてしまった感があるけど、本題に戻ろう。
今回のアルバムはベストアルバムということもあり、ほとんどの曲が既存もしくは再録なんだけど、その中にも一際、胸を打つ曲がある。
リード曲の「月影」
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今までガガガを聴いてきた人達は尚更、きっと初めて聴く人にも「これがガガガSPじゃい!」といえる看板のような楽曲だと思う。
特に胸に刺さった歌詞。

当たり前の人生を生きて行けよと 君が歌ってしまうから
古いアルバムを見つめながら僕は涙してしまうのさ

一緒にガガガを聴いていた旧友達や、CDを貸し合った女友達、ライブハウスで知り合った人達…
時は流れて、みんなそれぞれが結婚したり、子供が出来たり、遠く離れた場所に行ってしまったり…
「当たり前の人生」を歩んでいく中で、もうすっかり周りにガガガを聴く人も減ってしまった。
それでも僕は今日も家でガガガの曲を聴いたり、今でもライブハウスに行けばキッズに戻ってハチャメチャなダイブしたりしてる。
人から見たらそれは恥ずかしい事なのかもしれないけど、僕は少しだけ誇りにも思う。
飽きやすい僕にとってずっと変わらずに居てくれる事、変わらずに居続けさせてくれる存在に感謝しながら。

アルバムに入ってない曲も全てに思い出がある。


開放的でも社交的でもない僕だけど、もう半生を共にしてきたガガガSPはきっと一番の友達なのだと思う。
そんな事言ったらコザックはまた「何をカッコつけとんねん!」って口に含んだ水を吹きかけてきたりするかな。

わざとらしい寒い事は これからも言わないよ
君が疲れている時に会いには行かないよ
僕はこれからもステージで役者をしてるから
おヒマな時に見に来てよ 余裕があればね

きっと今日も何処かでクソダサいしみったれた音楽が流れていて、
背の低いギタリストと痩せ細ったベース、うさんくさい風貌のドラマー、キチガイのように叫び続けるボーカルを見に人生に不満しかないような顔の人間が集まって
あーでもないこーでもないって叫んで暴れて
まぁええわ…ってちょっとだけ幸せそうな顔して帰っていく。


ライブハウスはいつだってそんな場所だから。
これからも一緒に死ぬまで生きてやろうじゃないか、なぁ友よ。