Critical Path

限界工程

夢に向かって…

夢が1つ叶いました。

名前も知らなかった一人の女の子がずっと見続けてきた夢。

いつしかそれがみんなの夢になって、僕自身の夢にもなっていた。



初めて会った日のことを思い出す。
ステージの上の彼女は人形のように美しくて、どこか儚げで…。
今まで見てきたどのアイドルとも違う印象を受けた。

当時の僕は好きだったアイドルがメジャーデビューを目指すユニットのメンバーに
選ばれたことで有頂天になっていたし、全国のサラリーマンを応援するだとか
ヲタの肩を叩くアイドルのことなんて全然考えなかったし、せっかく可愛いのにもったいないなぁ…なんて思っていた。

でも何となく気になって現場に少しずつ通うようになった。
同じアイドルが好きという共通項はあったけど、
なかなか心を開いてくれないことにもどかしさを感じながらも、
ステージの上では別人のような天使の笑顔を見せる不思議な女の子に次第に惹かれていった。

彼女のことを一番に意識するようになったきっかけがある。
僕には好きだったアイドルを純粋に楽しめなくなっていた時期があった。
現場の雰囲気はバラバラで、誰もが好き勝手に叫んでいるだけのライブ…。
そんな時、彼女はこんなことを言った。
「私、いつも一人一人が楽しめる心の通ったライブがしたい!」と。
熱いタイプには見えなかったし、力強く言われた時は少し驚いた。
それからの今日まで…僕は彼女たちのステージを見るたび、何度もこの言葉を思い出した。

気づけば毎週同じ場所で彼女たちのステージを見るようになっていた。
決して超満員でなければ華やかな演出があるわけでもない。
音響だってひどいし、メンバーがMC忘れるなんて日常茶飯事で(苦笑)。
それでも日曜日の昼下がり、一番好きなアイドルが歌って、踊って、いたずらっぽく
笑いながら指差してきたりして…。
忙しい日々の中でどこかに忘れてきたような懐かしい感覚、緩やかに流れる時間が
どんどん積み重なっていった。(同じCDも積み重なっていった。)

最初に日本青年館でコンサートするって聞いたときは絶対冗談だと思った。
満員なんて到底思えなかったしいつの間にかひっそり中止になってるんだろうなと思った。
毎週のように無料ライブやってもいつものヲタしか来ないし、次々と新規ファンを増やしていく
他のグループが羨ましく見えた。
それでも信じてた。信じるしかなかった。自分たちのアイドルが最高だと信じて雨の日も風の日もひたすら叫んでた。
どんなに客が少なくても通行人から奇異の目で見られようともある一曲が僕を支えてくれた。
微笑む彼女を見て名前を叫んでいる時間がいつも本当に幸せで永遠のように感じられた。
それが「夢に向かって…」という曲だった。

そして、迎えた日本青年館コンサート当日。
どんなときも隣で一緒に走り続けたアイドルとついに辿り着いた夢の舞台。
結果は・・・(ほぼ)満員だった。
実力だけじゃないことなんてわかってる。否定的な人もいるだろう。
それでもいつも決して多くない駅前の客席しか見せられなかったメンバーたちに
この景色を見せられてよかった。“チアチア”のために沢山の人が集まってくれたことが
ただただ嬉しかった。

ライブの最後の曲はもちろん「夢に向かって…」だった。
いつでも全力で走ってきた彼女たちにぶつかるために
もう二度とアイドル見れなくなっても構わないくらい全力で叫んだよ。
\留奈留奈留奈留奈!俺の留奈!!!/って。



いつか留奈ちゃんにこんなことを聞いたことがある。
「るっぴはいつまでアイドルでいるの?」
彼女はあっけらかんとこんな風に答えた。
「ぎゃおすさんが私のことアイドルだと思ってくれてる限りアイドルだよ。」と。
その言葉を今そっくりそのまま返したい。
須永留奈がアイドルでいる限り、僕もきっとアイドルヲタを辞められないから。

早く会って聞きたい。
「留奈ちゃんの次の夢は何ですか?」
焦ることはない。夢の続きはきっとこれからも変わらず繋がっていくから。





また週末に、いつもの場所で。