Critical Path

限界工程

感謝せずにいれない 果てないこの宇宙で 君と出会えたこと

アイドルヲタクは崇高で最高な趣味・・・
なんて思ったことはただの一度も無いのだけれど。

元来、肯定的な人間ではないうえに、歳を重ねる毎に、若いヲタクのムチャなノリに眉をひそめたり、おっさんが必死になってるのを見るといい歳して何やってんだ・・・なんて否定的に思うことが多くなっている自分がいる。

だけど、SAY-LAは違った。
彼女達のステージと現場はいつだってプリミティブで心地が良い。
先ほどの二分では明らかに後者に属し、現場のノリは古臭くて前時代的だけど、不思議とライブが終わって、嫌な気持ちになったことは一度も無い。
実直にステージをこなす彼女たちの存在感は、売上至上主義・接触偏重・ライブはおまけ…といった傾向の強いシーンの中で、異質と言ってもいい。
事実、僕は特定の推しがいないので、ほとんど特典会に行った事が無い。

それでも、また早く次のライブが見たいと思わせてくれるいわゆる“地下”においては本当に貴重なグループだ。
これは、同事務所のREADY TO KISSにも共通して言える事だが、派手な見た目と言動に反して、i-getのアイドル達のライブに対する真摯な姿勢と熱意は、ある種の職人のように感じられ、個人的に好感を抱いている。

いつかヲタクを辞める時(早くしたいのだが)はこんな現場を死に場所にしたいと思える。
SAY-LAはそんなグループだ。


7月30日、そのSAY-LAの創設メンバーである「りーり」こと白石りかの卒業公演が行われた。

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このブログで『I LOVE YOU』について触れた事が無いので触れておく。
他グループの曲を引き合いに出して恐縮なのだが、この曲は個人的にあの『ジュリエット-君を好きな100の理由-』に比肩するアイドル界の一大アンセムだと思っている。決してそれが全てではないけれど、僕が心の底からMIXを打てるアイドルソングがこの2曲だということも真理なのだと思う。作詞した白石りか自身がどちらも経ているという共通項も興味深い。

この曲の素晴らしさは、やはり現場において何倍も強く感じられる。
神々しさを感じさせる天から降り注ぐようなイントロ、“ダサい”コール(褒め言葉)、見ればカラダが踊りだしてしまう振り…3分58秒の最初から最後までSAY-LAの…いや、地下アイドルの全てが詰まっていると言っても過言ではないだろう。


『I LOVE YOU』を筆頭に突き刺さるような歌詞が多いグループにおいて、それをより強く印象づけてくれる存在。
遠くから見るだけになれてしまうのは絶対に嫌と歌ったのも彼女だが、一番聞きたくない言葉で話を終わらせるのもいつも りーり だった。

決して涙ばかりで終わるのではなく、心が揺さぶられる卒業公演と共に一つの時代が終わった。卒業の穴は大きいけれど、バトンを受け継いだ5人が軸になって、きっとまた新しいSAY-LAも素晴らしいものにしてくれる。
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最新のサウンドや奇抜なパフォーマンスは多分今後も無い。
行きつく先は武道館やドームじゃなくて、いつもの渋谷や秋葉原の雑多なライブハウスかもしれない。
それでもただ真っすぐにライブする姿に、きっと僕と同じように多くの人が希望や楽しさを見出すだろう。
早く次のライブでいつもの変なコールを心から叫んで清らかに正しく歌い踊るメンバーを見て最高の笑顔になれる時が待ち遠しい。



何だかアイドルヲタクも悪い事ばかりじゃないみたいだ。



いつでも心に輝きを持って自分の居場所を探しに行こう…ずっとそう歌い続けてくれていたのも りーり だった。

光輝くSAY-LAの新しい物語はこれから始まっていく。